• サナ通信
  • 2021.11.10

サナ通信 Vol.26 低負荷で起こる発泡

低負荷で起こる発泡

先日まで調子が良かったのに、沈殿槽にチリの様なSSの浮遊が目立ってきた。その数日後に曝気槽が発泡し始め、ベタベタした泡状スカムも表面に目立ってきている。シャワーすれば消えるけど、対策を考えているうちにセンターウェルまで泡とスカムが・・・消泡剤入れても効きが悪くなってきた・・・。
それは低負荷発泡かもしれません。

低負荷でも発泡は起こります。

下図①の様なムース状の発泡ですが、高負荷の分解により起こったのではなく、低負荷状態が長く続いて図③汚泥フロックの解体が起こり、その後、図④のように更に散り散りになりバクテリアの自己消化が起こり、曝気槽が泡で覆われる状態にいたります。

①ムース状発泡

②低負荷状態の汚泥
丸く細かい汚泥が目立つ

③低負荷解体状態の汚泥
砂粒状の細かい汚泥が増えてくる。

④低負荷で自己消化が起きている汚泥。

低負荷発泡はなぜ起こる?

原因は死滅した菌体から溶出するタンパク質が主な原因です。
活性汚泥はエサ不足(BOD不足)が起こるとエサを求めフロック形成の役割をしていた細胞外粘性物質も分解を始めます。そして、活性汚泥フロックは凝集能力を失い、バラバラに解体していきます。この状態が継続し、さらにエサ不足に陥るとバクテリア達は死滅し始め、次いで死骸が分解されていきます。この過程で細胞内のタンパク質等が槽内に流出し、曝気により泡となっていきます。この時、細かくなった汚泥を泡に巻き込む事でスカム状の泡となっていきます。

低負荷が進んだ事による発泡は消泡剤が効きにくくなり対応が難しい事があります。また、糸状菌や放線菌による不具合も同時発生している事もあります。弊社の現場スタッフによる調査をご依頼いただければ、現状把握は勿論、運転面や薬剤面での対策等幅広いご提案ができますので、ぜひ、お声がけください。