某食品工場(野菜の加工)
高負荷対策
でんぷん由来の過負荷対策
- 排水対策
施設概要
- 原水量
- 300㎥/日
- 曝気槽容積
- 回分槽①50㎥、回分槽②70㎥、回分槽③100㎥(並列)
- 運転サイクル
- 曝気時間 8:00〜20:00(12h)
沈殿時間 20:00〜2:00(6h)
放流時間 2:00〜4:00(2h)
待機時間 4:00〜8:00(4h)
お困りごと
回分槽にて発泡あり、酷い時は回分槽からあふれる場合もある。里芋の加工をはじめてから発泡しはじめた。同時に悪臭も発生している。
現状分析
水質分析結果
回分槽水[単位:pH以外mg/L]
分析項目 | 分析結果 |
---|---|
pH | 5.3 |
n-Hex | 11 |
MLSS | 4,400 |
【顕微鏡観察より】
低DO指標のトレポモナスや分散状細菌発生しています。⇒微生物活性低下の可能性があります。
【考察】
里芋のデンプン質による栄養の偏り、及びデンプン質による高負荷、里芋からのヌメリ成分による溶存酸素の不足が原因で微生物活性が低下しています。分解されるべきものが残留・蓄積し、その結果、腐敗傾向に分解が働き悪臭の発生に至っています。泡は微生物活性が流入負荷に追い付かなく途中で滞っていることが原因です。
対策
対策1
栄養補助剤にて栄養バランスを整え微生物の多様化により微生物活性を向上させ、曝気時間を増やして微生物活性を後押しします。これにより、発泡や悪臭発生の解消を目指します。
【対策①薬剤による微生物活性促進】
里芋の加工期間において「SANA-N改1」を曝気開始後(水量が少ない時)の回分槽に投入し、偏った栄養バランスを整え微生物活性を促進します。
投入量:50㎥槽⇒5㎏/日、70㎥槽⇒7㎏/日
注意
里芋を加工する時期は継続して添加してください。上記対策を行うと一時的にSVが上昇することがありますが、これは回分槽に蓄積されたデンプン質が活性汚泥に変わることで起こる現象です。MLSSが高くなり過ぎないように注意して下さい。MLSSは満水時で3,000mg/L~4,000mg/Lになるように維持してください。
対策2
【対策②運転による微生物活性促進】
放流完了後~曝気開始までに4時間の待機時間がありますが、その時間を曝気時間として運転します。
現状:<曝気時間 8:00~20:00><沈殿時間 6時間><放流時間 2時間>
⬇︎(+4時間 計16時間の曝気時間に変更)
変更:<曝気時間 4:00~20:00><沈殿時間 6時間><放流時間 2時間>
対策①②後の経過
【対策1週間後】
対策前
対策1週間後
「SANA-N改1」の投入により、過度に曝気槽に流入するデンプン質を微生物がスムーズに分解できる環境が整い、フロックの改善に繋がってきていると判断します。BOD分解に関する良性指標であるツリガネも出現してきています。又フロック形成が良い事から汚泥の沈降分離性は良好です(沈降速度が早い)。ただ、やはり曝気風量が不足しDOが低いことが次のステップへの制限要因となっており、微生物活性が頭打ちとなる事で、汚泥は依然として白濁色で臭気と泡が発生しています。
対策3
対策①②を行い、1週間経過後の状態から継続する対策及び、新しく取り入れる対策を講じ、発泡の抑制・処理水の透視度改善を目指します。
【対策③(対策①の継続)薬剤による微生物活性促進】
里芋の加工期間において「SANA-N改1」を曝気開始後(水量が少ない時)の回分槽に投入し、偏った栄養バランスを整え微生物活性を促進します。
投入量:50㎥槽⇒5㎏/日、70㎥槽⇒7㎏/日
【対策④運転による微生物活性促進】
曝気時間がまだ不足しているため曝気時間を増やします。現在の汚泥は沈降速度が速く保てているので、沈殿時間を2時間短縮し、その2時間を曝気時間に充てます。
現状:<曝気時間 4:00~20:00><沈殿時間 6時間><放流時間 2時間>
⬇︎(+2時間 計18時間の曝気時間に変更)
変更:<曝気時間 4:00~22:00><沈殿時間 4時間><放流時間 2時間>
対策3後の経過
【2週間経過後】
対策前
対策1週間後
対策2週間後
フロックの圧密性は向上し、フロックの大きさも経過を追う毎に大きく変化しています。指標生物は、処理良好時に出現するツリガネの出現数が多くなっていますので、溶解性BOD処理は良好に行われていると判断します。汚泥の白濁色も治まってきていると共に臭気も軽減されています。
注釈
流入原水基質、設備状況による処理能力や、運転操作変更の有無で効果は異なります。季節ごとの水温による処理能力変化、製造品目の変化等によっても効果が異なる場合があります。施設状況、流入原水基質を把握した上で、各排水処理場ごとの最善なご提案をいたします。
ご提案における水質分析、顕微鏡観察等、無償で行いますので、お気軽にご相談ください。
導入製品
SANA-N改1
油脂・糖質が多い原水で曝気液に軽度の粘性が発生している場合の粘性対策や、活性汚泥が増殖しない場合の栄養バランス調整に効果的です。また、BOD負荷が高い場合のバランス調整剤としてもお使いいただけます。
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